- Reserch #2[回転時の「壁蹴り」]
初版:2001.2.13. 最終更新日:2001.2.14.
2.1 「壁蹴り」とは
2.2 新『セガテトリス』の壁蹴り
2.3 『TGM』シリーズの壁蹴り
2.4 『テトリスDX』の壁蹴り
2.1 「壁蹴り」とは
テトラミノが回転するためには、通常は「回転後の行き先にブロックなどの障害物が何もない」という条件が必要です。
[図2.1.1a]の状態から逆回転をしようとすると、回転法則によって[図2.1.1b]のような回転をしようとします。
しかし、左側の地形にめり込む形になるので、実際には回転出来ません。
そこで、一部のテトリスでは、回転する時に通常の回転法則から左右に1マス分ずらすなどして[図2.1.1c]のように
無理やり回転させてしまう「壁蹴り」というテクニックが存在します。
「壁蹴り」が存在するゲームは(確認できた限りでは)以下の通りです。
・『セガテトリス』(AC・DC)
・『テトリス・ザ・グランドマスター』(AC)シリーズ
・『テトリスDX』(GBC)
・『マジカルテトリスチャレンジ featuring ミッキー』(AC・64)(AC版で確認)
しかし、それぞれに「壁蹴り」が行われるための条件や「壁蹴り」によるテトラミノの動き方が違ってきます。
今回はその「壁蹴り」のしくみに迫ってみたいと思います。
2.2 新『セガテトリス』の壁蹴り
新『セガテトリス』の「壁蹴り」はいたってシンプルなものです。
L・逆L・凸・Z・逆Zの5種のテトラミノがフィールド両端の「壁」にめり込むような回転をした場合のみ
「壁蹴り」が行われ、その時のテトラミノの回転は、実際の回転法則よりも1マス分左右に移動したものになります。
当然、壁蹴り回転後のに地形と重なるような回転は出来ません。
但し、棒(赤)は「壁蹴り」の対象にならないので注意してください。
これは他の壁蹴りでも大体同じです。
前の図[2.1.1a]と同じような状況で、下の2つの場合を考えます。
図2.2.1a |
図2.2.1b |
[図2.2.1a]では蹴る対象が「壁」なので、上の法則にしたがって「壁蹴り」が出来る訳ですが、
[図2.2.1b]では蹴る対象が「壁」ではなく「地形」であるために回転させることが出来ません。
こういう法則なので、実際に使う場面はほとんど無いと思いますが(笑)、壁蹴りを使った回転入れの例を下に挙げておきます。
図2.2.2 |
図2.2.3 |
[図2.2.2]・[図2.2.3]は「でんぐり返し」と呼ばれるもので、一見とても入りそうにない地形なんですが、
「セガ系」の回転法則と「壁蹴り」の複合技がなせる技ですね。
図2.2.4 |
図2.2.5 |
[図2.2.4]・[図2.2.5]は、ぱっと見は「普通の回転法則」っぽく見えてしまいそうですが、
テトラミノの回転状態を示す「枠」を見ると壁を蹴っているのが分かると思います。
「セガ系」のテトリスでは普通こういう回転は出来ません。
『セガテトリス』においても、壁際でないと出来ないので注意が必要です。
他にもいくつか壁際の回転入れは有りますが、これらの回転入れ以外は普通の回転入れで代用出来ると思うので省略します。
2.3 『TGM』シリーズの壁蹴り
新『セガテトリス』の「壁蹴り」が「壁」しか蹴らないのに対し、
『TGM』シリーズの「壁蹴り」は「壁」以外にも「地形」と重なった場合でも可能です。
そのため、『セガテトリス』の時よりも壁蹴りを使う場面が多くなり、20G時の重要なテクニックのひとつとなります。
但し、ここでもやはり棒(赤)では「壁蹴り」ができないのが残念なところです。
図2.3.1 |
[図2.3.1]は、前の[図2.2.4]と同じように左側の障害物を蹴って回転しているわけですが、
『TGM』シリーズでは蹴る対象が地形でもきちんと「壁蹴り」が行われます。
回転入れだけでなく、操作の手数を減らすことにも使うことが出来ます。
図2.3.2 |
これも壁蹴りのひとつです。別に壁蹴りを使わなくても、1マス右に移動してやれば普通に回転出来るのですが、
必要最小限の操作でテトラミノを動かす「操作最適化」には必要不可欠なテクニックのひとつとなります。
また、左・右どちらにも移動できそうな場合は、右移動が優先されます。
図2.3.3a |
図2.3.3b |
L(オレンジ)の「伏せ」の一手です。[図2.2.3a]はもちろん、[図2.3.3b]でも問題なくキレイにはまります。
しかし、左右対象にしての逆L(青)の場合はそうはいきません。
図2.3.4a |
図2.3.4b |
[図2.3.4a]の場合は左にしかずれられないのでちゃんと「伏せ」てくれますが、
[図2.3.4b]だと右への移動が優先されてうまく回転入れが出来ません。
そんなに滅多にあるものではないのですが、注意が必要です。
この法則を逆手に取ったのが、下の[図2.3.5]の例です。
図2.3.5 |
20Gでこの地形の時に青が降ってくると、普通は右端に持っていくのは不可能なんですが、
引っかかりの部分で「壁蹴り」を使って右に持っていくことが出来ます。
このテクニックは「青の飛ばし」と呼ばれています。
ここまで見ると、『TGM』シリーズの壁蹴りはどんな場面でも使える感じがしますが、
[図2.3.6a]の状態では壁蹴りが行われません。
図2.3.6a |
どちらの方向に回転するにしても、左や右に1マスずらせば大丈夫そうですが、コレには訳があって、
どうやら「回転時の3×3マスのうち、中央の列だけが重なるような回転では壁蹴りが出来ない」ということのようです。
図2.3.7 |
回転時に中央の列が重なる可能性が有るのは[図2.3.7]の6通りで、
×印の部分に障害物があるだけでは壁蹴りは行われません。
○印・×印部分が両方重なっている場合は、壁蹴りが出来る時と出来ない時があります。
図2.3.6b |
[図2.3.6b]の場合、正回転では壁蹴りが出来ませんが、逆回転では壁蹴りが出来ます。
図2.3.8a |
図2.3.8b |
[図2.3.8b]の場合は、正回転でも逆回転でも壁蹴りが出来ません。
複雑な場合の壁蹴りというのは、正確には良く分かっていません。
まぁ、こういう壁蹴りは実際には使う場面無いと思うんですけどね(笑)
とりあえず「どんな場面でも壁蹴りが出来る訳ではない」と考えておいてください。
※「『TGM』シリーズの壁蹴り」の記事作成の際に、「テトリス情報のページ」の過去ログから、
いぺぱぴ氏とmuSHIMaru氏の記事を参考にさせていただきました。
なお、これは『TGM』について調べたもので、『T.A.』では未調査だということです。
(だいたい同じだとは思いますけど)
2.4 『テトリスDX』の壁蹴り
『テトリスDX』の「壁蹴り」は、横に1マスずれる『セガテトリス』や『TGM』の「壁蹴り」とは大きく異なり、
「通常の軸回転が出来ない場合に「隠れた別の回転軸」というものが存在し、
その軸を使って軸回転が可能な場合は「壁蹴り」が行われる」という法則になっています。
やっぱり棒(赤)では「壁蹴り」ができません。
テトラミノが初期状態時、[図2.4.1]の黄色い点が「通常の回転軸」、
青い点が「隠れ回転軸」になります。
図2.4.1 |
L・逆L・凸の3つは、この法則で普通の回転入れでは入らないような壁蹴り回転が出来ます。
Z・逆Zの場合、内部的には「壁蹴り」されていますが、実質的に回転入れの幅は広がりません。
具体的な壁際の回転は、[図2.4.2]のようになります。
図2.4.2 |
回転軸が違うために、壁蹴り前と壁蹴り後ではテトラミノの高さが変わります。
高さが変わるために、1マスにかかる落下時間もリセットされるので、
これを利用して壁際でテトラミノを下から上まで持っていくことも可能です。
また、こういう壁蹴り法則なので、壁だけではなく地面なども蹴ることができます。
これを利用すると、こんな「お遊び」も可能です。
図2.4.3 |
[図2.4.3]のような地形を作って、Lを放り込めば、逆回転だと延々と回しつづけることが出来ます(笑)。
但し、正回転では途中ではみ出てしまいます。
実戦的な壁蹴りとしては、[図2.4.4a]のような場合があります。
図2.4.4a |
図2.3.2(再掲) |
『TGM』の壁蹴りで説明した時の[図2.3.2]と比べると見た目は同じ感じがしますが、
『TGM』と『テトリスDX』では回転法則が違うので、下の[図2.4.4b]のケースでは、
図2.4.4b |
こんなことになってしまいます……
逆Lの時も同じように、壁蹴りが出来る場合と出来ない場合があります。
図2.4.5a |
図2.4.5b |
凸にしても逆Lにしても、この形と180度回転した形から隙間に入れようとしても絶対に入りません。
特に「セガ系」のテトリスに慣れている方は、『テトリスDX』が「BPS系」であることを強く意識してプレイしてください。